バリアフリー ・ メロディーロード
『メロディーロード』
by「星さんからのメールメッセージ」
昨年、あることがきっかけで出会った縁で、この秋に何十年振りかに北海道へ行ってきました。
北海道滞在中、すっかりお世話になりましたダンディ栗山氏(ヨイショッ♪(笑))からメロディーロードを案内して頂きました。
初めて“メロディーロード”って言葉を聞いた時には「それって…なあに?」と思いました。
赤外線か何かで車の動きをキャッチして、どこかにスイッチでも入って音楽が流れる仕組みでしょ?ってイメージをしていたのですが…とんでもない!想像以上にとてもとても不思議なものでした。
私は両耳100デジベル以上の聴覚障がいがあるので(100デジベルって、すぐ隣を飛んでるジェット音がようやく聴こえるレベルらしい…)正直…期待はしていませんでした。
生まれた時から聴こえない人、途中から聴こえなくなった人、補聴器をつけると聴こえる人、補聴器をつけているけれど、補聴器を通して何らかの音を感じるものの、それが何の音か分からない人など、聴こえ方は1人1人違うし、音に対する感覚も1人1人違います。
私は後者であり、補聴器をしているけれど、その補聴器を通して何らかの音を感じるものの、それが何の音か分からない私にとって、日常の音楽はリズムやメロディーはなんとなく分かるけれど、歌詞は全く分からないといった形ではあるものの、歌詞は全く分からないけれど、その音楽を聴いた時とても心地良さを感じたり、時にはわけもなく泣きそうになってしまったりする時があります。
そんな私が感じた“メロディーロード”の体感についてお話ししたいと思います。
北海道標津郡標津町の、心癒されるのどかな風景がず-っと続く酪農地帯にウワサの“メロディーロード”がありました。
ト音記号が書いてある黄色の可愛い標識が見えてきて…そこから車をスタート。
終点地点には、やはり八分音符記号が書いてある黄色の可愛い標識でゴール。
親切なことにスタートからゴールまで、台風が来たら吹き飛ばされちゃいそうな「知床旅情」の手作り歌詞が表示されていました。
(これがあとから貴重なものになるとは…)
案内人の運転でスタート。
1回目 んっ?
2回目 なんとなく。
3回目 あっ!
4回目 おぉ-っ♪
5回目 わあ~っ♪
“感じる!”
コレってめっちゃ楽しいかも!
聴こえない私がどんな風に“感じる”のか?
メロディーロードを車で走り出すと、微妙に異なる何種類もの振動が色々な長さで、車に乗っている私の身体に次々と伝わってきます。
最初は「不規則な振動」にしかすぎないのですが何度も繰り返して、その振動を身体で受け止めているうちに、リズムを感じ、振動のピッチを感じ、確かにメロディーとして伝わって来るのです。
今にも吹き飛ばされそうに立っていたあの「知床旅情」の手作り歌詞が意外にも大活躍で、身体に感じるリズムに慣れてきた頃に、この歌詞カードを見ながらメロディーロードを車で通ると確かに、この歌詞と一致してちゃんとメロディーを感じられます。
しかも、この歌詞カードは、ただ、ただ無造作に立ってるのではなくて、きちんとリズムの間隔に合わせて立ってあるのです。
このメロディーロードを健聴者のものだけの楽しみにするのはもったいないです(笑)
音楽が苦手な聴覚障がい者にこそ、身体で感じて楽しんでもらえるメロディロード。
障がいのあるなしに関係なく、子どもからお年寄りまでみんな一緒に楽しめるメロディーロード。
まさにみんなを“笑顔”にしちゃう楽しいバリアフリーでは?
そう!そう!
良~く感じるポイントを見つけちゃいました!
私の場合は足元のマットの下に靴を脱いだ足を滑り込ませて更に“感じる”ことでした。
9月下旬の早朝。
ラッキーなことに観光客はもちろんのこと、車一台すら走っていなかったので、案内人が何度もUターンしてくれたり、足元のマットを外してくれたり、時には逆走してくれたり、おっと…イケナイ、イケナイ、これは秘密だったわね(笑)
何よりも1番は、案内人の安全運転速度がポイントなんだと思います(笑)
速くても遅くてもダメでした。
“知床旅情”メロディーロードは時速60km設定なのですが、時速40kmで走ったほうがよりいっそう振動を大きく感じられました。
(この結論にたどり着くまでいったい…何往復したことでしょう…(笑))
感じたとなると…今度は「なぜ音楽が?」と疑問が生まれ、車から下りて道路をジックリ観察。
案内人曰く…この音楽を奏でる不思議な道路の秘密は、アスファルト舗装の道路上に切り込んだ溝によるものであり、この溝とタイヤの接触で発生する歩行音が溝の間隔の違いにより音階や音の長さを作りだし、溝が狭いと高い音、広いと低い音になるそうです。
なるほどです。
これを作っちゃった“篠田さん”ってすごいなぁ…と感動してしまいました。
実際にお会いさせて頂きましたが、とても優しそうな方でした。
お孫さんが生まれたばかりでデレデレした可愛いおじいちゃんでもありました(笑)
“メロディーロード”って不思議で楽しいばかりじゃなくて、溝によって水はけを改善させたり、路面抵抗を起こさせることにより安全運転に繋がるというメリットもあるようです。
しかも、新潟県は「夏のおもいで」群馬県は「静かな湖畔」和歌山県は「見上げてごらん夜の星を」広島県は「森のくまさん」愛知県は「どんぐりころころ」だと篠田さんから聞いたので、なんだか日本全国“メロディーロード”巡りをしたら楽しそうだなぁ…と思いました。
もっと、もっと日本全国に“メロディーロード”ができたら楽しいですネッ。
楽しいばかりではなくて、安全運転に繋がって事故もなくなるなんてメロディーロードって一石二鳥ですネッ。
すごく不思議で、すごく楽しい体験でした。
篠田さん、案内人の栗山さん、本当にありがとうございました。
“なまら”楽しかったです♪
追伸:調べたところ…やっぱり岩手県にはメロディーロードはありません。
“ココロの風”のメロディーロードを作ってくれたらいいのになぁ…と、ちゃっかり夢を膨らませています(笑)